よくある質問
相続・遺言
相続登記をいつまでにしなければならないという決まりはありませんが、できるだけ速やかに相続登記の手続きをして頂くことをお勧めしています。
これは、相続登記を済ませていないと、不動産を売却したり、銀行から不動産を担保に借入をするといったことが事実上できないからです。
相続開始時から時間が経てば経つほど、相続登記の手続きは困難になります。
時間の経過とともに、一部の相続人が死亡することにより新たな相続人が登場したり、相続人が認知症になってしまうなどして、手続きをスムーズに行えなくなる可能性は高くなります。
また、相続登記をするうえで必要な書類として、お亡くなりになった方の住民票の除票か戸籍の除附票が必要となってくるのですが(登記記録上の住所と除籍謄本の本籍地の表示が全く同じ場合は不要です。)、住民票の除票又は戸籍の除附票の保管期間は、お亡くなりになってから5年間とされており、取得できない可能性もあります。
このように、相続登記が必要となる場面があるのに対し、相続が発生してから時間が経てば経つほど手続きを済ませるのが大変になってしまうため、できるだけ早く済ませておくことをお勧めしています。
必要書類(戸籍謄本等)の徴収から、遺産分割協議を経て最後に相続登記申請となるため、着手から完了までの期間でみると、数週間から長い場合は数か月程度掛かります。
相続税の申告が必要となる場合は、税理士が税金の試算をした後に遺産分割協議となることが多いため、比較的完了までの期間は長めになります。
なお、登記だけの期間でみれば、申請書を法務局へ提出しから平均して1週間程度で完了します。
法務局での手続き期間は各地の法務局によって異なり、また、法務局の混み具合によっても異なりますので、ご注意ください。
不動産が遠方にある場合でも、郵送やオンラインで手続できますのでご安心下さい。
相続人間の話合いで遺産分割の協議がまとまらない場合は、弁護士に依頼して代理人として
交渉してもらうか、遺産分割の調停を申し立てて協議を進めていくことになります。
司法書士や行政書士は、代理人となって遺産分割の交渉を行うことができませんが、司法書士は遺産分割調停や審判の申立書やその他の裁判所提出書類を作成することができるため、当事務所では話合いで解決できない場合には、そのような書類を作成しつつ相続人の方が遺産分割を進めやすいようにアドバイスするなどして、遺産分割をサポートしています。
市町村役場には、その管轄区域の不動産を所有者ごとに管理する台帳があり、一般に「名寄帳」と呼ばれています。相続人であることを証明する戸籍謄本などを持参して窓口で申請することによって、「名寄帳」の交付を受けることができます。
お亡くなりになった方の財産を完璧に把握できる方法は、残念ながらありません。
まずは、以下のもの手掛かりに財産を把握するように努めましょう。
(1)預貯金通帳
(2)領収書、請求書
(3)郵便物
(4)名刺
(5)手帳
(6)個人所得税申告書
(7)法人税申告書
(8)宝石・骨董品などの現物や鑑定書
(9)固定資産税納税通知書
(10)名寄帳
なお、生前関与していた税理士がいる場合は、その方に相談することで財産が把握できることがあります。
被相続人自身を受取人に指定している場合は除き、相続財産となりません。
ただし、みなし相続財産として相続税が課税されることはありますのでご注意下さい。
お亡くなりになった方の財産を全く相続しなくてもよい場合は、「相続放棄」をすることによって、借金などを含む相続人としての責任から免れることができます。
「相続放棄」をすると、最初から相続人でなかったとみなされるため、プラスの財産もマイナスの財産も、契約関係なども一切引き継がないことになります。
なお、「相続放棄」は、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
相続財産より債務が多いかもしれないときは、「限定承認」をすることによって必要以上に責任を負わないようにすることができます。
相続人が限定承認をしたときは、相続により取得した財産の範囲内でお亡くなりになった方の債務を負担すればよく、相続人自身の財産でその債務を弁済する責任はありません。
なお、「限定承認」は、相続があったことを知ってから3か月以内に共同相続人の全員で家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
相続人の中に、認知症等により判断能力が不十分な方がいる場合は、家族が勝手に遺産分割の手続きを進めることはできません。遺産分割協議を行うためには、その方のために家庭裁判所で成年後見人を選任してもらう必要があります。
家庭裁判所によって成年後見人が選任されたら、成年後見人と他の相続人とで遺産分割協議を行います。なお、成年後見人は本人の権利を守る必要があるため、遺産分割協議をする場合は本人の法定相続分がきちんと確保できている内容でないと協議に応じることができないため、この点留意しておく必要があります。
未成年者であっても法律で定められた割合(法定相続分)で相続財産を受け取る権利があります。
ただし、未成年者が単独で遺産分割協議を行うことはできないので、法定代理人が代わりに協議を行いますが、未成年者とその親が共に相続人となる場合には利害が対立するため、その親が未成年者を代理することはできません。
この場合、家庭裁判所に「特別代理人」選任の申立てを行い、選任された特別代理人が未成年者を代理して遺産分割協議を行います。
相続人が一人でも欠けていれば、遺産分割協議は有効に成立しません。
相続人の中に行方不明者がいる場合は、遺産分割協議を行うために、その行方不明者のために「不在者財産管理人」の選任が必要となります。家庭裁判所に「不在者財産管理人」の申立をし、選任された不在者財産管理人と他の相続人とで遺産分割協議を行います。
なお、不在者財産管理人は行方不明者の権利を守る必要があるため、遺産分割協議をする場合は行方不明者の法定相続分がきちんと確保できている内容でないと協議に応じることができないため、この点留意しておく必要があります。
遺言は、「民法」という法律に規定されています。
民法では、満15歳以上の者は、単独で有効に遺言を作成できるとしています。
したがって、未成年者でも遺言を作成することができますが、15歳未満の者は作成することができません。
また、成年後見人でも遺言を作成することができますが、成年後見人が遺言を作成するには、医師2名以上の立会いが必要とされています。
遺言者の最終意思を尊重する趣旨から、遺言者は、いつでもその遺言を撤回したり変更したりすることが出来ます。
公正証書遺言を自筆証書遺言で変更・取消しすることも出来ます。
遺言執行者とは、遺言書の内容に従って財産の分配等をする者のことです。
遺言執行者は必ず定めておかなければいけないものではありませんが、定めることで各相続人が勝手に相続手続をしてしまうのを防ぐことが出来ますし、スムーズに財産の分配を行うことができます。
遺言には、主に、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
遺言の内容をを全文自署し、署名・捺印したものを自筆証書遺言といいますが、ワープロで書かれた遺言は自筆証書遺言としての要件を欠くため、自筆証書遺言としては無効です。
なお、ワープロで書いたものであっても秘密証書遺言の要件を満たすように作成すれば、有効な遺言になり得ますが、その場合でも署名・捺印は必要です。
無効な遺言を遺すことは争いのもととなりますので、遺言を作成する場合は、専門家に相談のうえ作成することをお勧めします。
自筆で書かれた遺言を見つけた場合は、封をされている場合は勝手に開封せず、すぐに家庭裁判所の検認手続きを進める必要があります。
検認とは、遺言の存在を明らかにして紛失や偽造を防ぐために行う確認作業のことです。
なお、遺言が公正証書で作成されている場合には検認を行う必要はありません。
以下のいずれかに該当する方には遺言の作成をお勧めしています。
(1)
・相続関係が複雑になる可能性が高い方
・夫婦の間に子供がいない方
・再婚し、前妻との間の子、後妻(との間の子)がいる方
(2)
・相続人ではない者に財産を遺したい方
・内縁の妻(または夫)がいる方
・息子(または娘)の配偶者に財産を遺したい方
(3)
・個人事業主の方、会社経営者の方
(4)
・相続人に承継させる財産を指定したい方
(5)
・相続人が全くいない方
遺言があっても、相続人全員の同意がある場合は、遺言と異なる遺産分割協議は可能です。
ただし、相続人以外で遺贈を受けた者がある場合や遺言執行者が指定されている場合は、それらの者の同意も必要です。
法定相続人(兄弟姉妹を除きます。)には、一定の割合で最低限の相続分が保障されています。
この保障された相続分のことを「遺留分」といいます。遺贈や贈与がされている場合に、「法定相続分」は必ず保障されるものではないのに対し、「遺留分」はそのような場合にも絶対的に保障されるものです(遺留分の放棄をしている場合を除く)。
遺留分が侵害されている相続人は、遺贈や贈与を受けたものに対して、自分の遺留分に相当する財産を引き渡すよう請求することができ、このことを「遺留分減殺請求」といいます。
なお、「遺留分減殺請求」は、相続の開始及び遺贈又は贈与があったことを知った時から1年以内に行使しなければなりません。また、そのような事実を知らない場合であっても、相続開始の時から10年が経過してしまうと請求できなくなってしまいます。
財産管理
認知症、知的障害、精神的疾病などにより判断能力が十分ではない方について、法定代理人としてその方の権利や財産を守る援助者を付け、その方を法律的に支援する制度です。
「成年後見」は、判断能力が不十分になってからでないと利用することができません。
将来、判断能力が不十分になった場合に備えておきたい方は、「任意後見」を利用することができます。
任意後見は、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、信頼できる方との間で予め契約により財産管理や生活支援をお願いしておいて、判断能力が不十分な状態に陥ったら契約に基づき財産管理等を始めてもらうという制度です。
成年後見と同様に判断能力が不十分である方の権利を守ることを目的としていますが、成年後見による財産管理等が成年後見人が客観的に判断して本人のためになることしかできず融通がきかないものであるのに対して、任意後見は予め契約で柔軟に財産管理等の内容を定めておくことができるので、本人の希望通りにしてもらい易くなっています。
なお、任意後見には、将来型・即効型・移行型の3種類があります。
将来型とは、現在は判断能力がある人が、将来の能力の低下に備えて、あらかじめ任意後見契約を締結するパターンです。余裕をもって準備できるので内容はしっかりと詰めることができますが、契約をしてから実際に効力が発生し任意後見が開始するまである程度の期間があいてしまうため、その間に任意後見人になる方と疎遠になってしまったり、場合によっては任意後見を開始すべきタイミングで開始されず、もしくは亡くなるまで効力が発生しないということもあります。
即効型とは、契約当時既に判断能力が低下傾向にあるが、契約を締結する能力が残っている場合に利用されるパターンです。速やかに任意後見を開始したいので準備期間が短くない十分に内容を詰めきれない可能性があり、また、ご本人の状態によっては任意後見契約を締結する能力が残されているのか判断するのが難しく、利用し辛いところがあります。
移行型とは、判断能力の低下に備えて、任意後見契約と同時に財産管理契約を締結するパターンです。これは、任意後見の契約締結の時に判断能力は問題がないが、体の具合が良くなくご自身で財産管理をするのが難しいといった場合に、任意後見人に就任する予定の方に任意後見開始前から財産管理をお願いするというものです。任意後見の開始時期をタイムリーに察知することができ、スムーズに任意後見に移行できるためお勧めです。
実際に影響が出るケースが多くないと思いますが、司法書士や弁護士など一定の資格職でその仕事を行えなくなるものがあります。その他デメリットとしては下記のようなものが考えられます。
日常の買い物以外、ご本人様が有効に契約などをすることができなくなる(ただし、必要な契約は成年後見人が行います。)。
一度成年後見が開始されると、その必要がなくなるまで終了しない(通常ご本人様が死亡するまで終了しません。)。
成年後見人は定期的に裁判所に対し財産や生活状況の報告しなければなりません。
成年後見が開始されると、その旨の登記(登録)がなされることになります。この後見登記の内容は、登記事項証明書を交付申請すれば確認することができますが、後見の登記事項証明書は本人や成年後見人、本人の四親等内の親族などの限られた者しか取得することができませんので、第三者に勝手に取得されることはありません。
その他に成年後見人が就任していることを示す書類はなく、公表もされませんので他人に知られる心配はあまりありません。
なお、後見登記事項証明書には、後見開始の審判の事件の表示、確定日、成年被後見人等の氏名・住所・本籍・生年月日、成年後見人等の氏名・住所などが記載されています。
成年後見は正確には3つの類型からなり、類型ごとに対象となる本人の判断能力レベルが異なります。
1.成年後見→「判断能力が全くない方」
物事が理解できない、記憶が維持できない等の理由により自己の財産を管理・処分することが全く出来ない状態にある方。
2、保佐→「判断能力が著しく不十分な方」
日常の買い物程度は単独で出来るものの、不動産の売買、金銭の貸し借り、相続問題の処理などの重要な行為は自分一人では判断が難しい状態にある方。
3、補助→「判断能力が不十分な方」
財産の管理・処分は本人でも出来なくはないが、本人の判断のみでは不安があるため、第三者を関与させるのが望ましい方。
浪費の激しい方であっても、認知症や知的障害、精神障害などが原因で判断能力が低下している状態になければ成年後見は利用できません。
このような原因があって浪費に走ってしまっているのであれば、成年後見を利用することで本人が不要な契約等をしてしまった場合に取消しできる状態にしておくことができるので、浪費の予防に役立てることは可能です。
成年後見開始の申立てをするには、下記の費用が必要となります。
・申立手数料 800円 (収入印紙で家庭裁判所に納付)
・登記手数料 2600円 (収入印紙で家庭裁判所に納付)※保佐・補助は追加あり。
・予納郵券 4000円程度(郵便切手で家庭裁判所に納付)
・鑑定費用 5万円~15万円(精神鑑定が必要な場合)
この他に、申立書に添付する医師の診断書の発行費用や、戸籍謄本や住民票の交付費用が必要です。
また、申立に必要な書類の作成を司法書士に依頼する場合は、報酬の支払いが別途必要となります(当事務所では税別8万円~となっています。)。
事案や管轄裁判所によっても異なりますが、必要な書類がすべて整っていて、かつ、家庭裁判所による調査等に困難がなければ、申立から2か月程度で後見が開始されます。
申立の際に添付する診断書の内容によっては裁判所がご本人様の判断能力の鑑定を行うので、そうなった場合には少し時間が掛かります。
未成年者や破産者などの欠格事由に該当しなければ、一般の方でも成年後見人に就任できる可能性はあります。
成年後見開始の申立てをする時に、成年後見人に就任してもらいたい方を候補者として挙げることができので、希望があれば候補者として挙げて申立てをしますが、裁判所はその希望に拘束されないため、そのまま候補者が選任される場合もあれば、候補者でない方が選任されることもあります(その場合弁護士・司法書士等の専門職が選任されます。)。
ご家族の間で争いがあるケースや、保有資産の額が大きい場合は専門職が選任される可能性が高くなります。
成年後見人は本人に代わって、その生活・医療・介護・福祉等に関する様々な契約を結んだり、財産全体をきちんと管理して、本人が日常生活に困らないように保護・支援します。成年後見人は、家庭裁判所に本人の財産や生活の状況を定期的に報告して、家庭裁判所の監督を受けます。
なお、成年後見人は上記の全てに代理人として関与するのに対して、保佐人、補助人は財産に関する重要な行為に関して同意をしたり、一部本人の行為を代理するに留まるため、職務の範囲に違いがあります。
原則として本人に成年後見人が必要でなくなるまで続きます。本人の能力が快復することは稀であるため、ほとんどの場合本人が亡くなるまで続くことになります。
なお、正当な事由(例えば病気や後見人が遠隔地へ転居することとなって、後見人の仕事を円滑に行えなくなった場合等)があるときには、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。
成年被後見人の立場としては、この自宅を売却することが本人にとって、真に有益あるいは必要なことかを検討する必要があります。また、本人の居住用不動産の処分には、家庭裁判所の許可も必要です。許可が下りてはじめて売却が可能となります。
このような厳格な取り扱いとなっているのは、自宅を処分して生活の本拠を変更することは、本人に重大な影響を及ぼす可能性があるためです。本人にとって自宅の売却が必要と判断できる場合にのみ、売却が認められます。
裁判業務・借金管理
債務整理とは、
(1)任意整理
(2)個人再生
(3)自己破産
(4)特定調停
といった手続きを取るなどして、借金の整理をすることを言います。
今後の返済が厳しくなってしまいそうな方やすでに困難になってしまった方が、法的な手続きを利用して支払いを見直したり、支払いを免除してもらうなどして、生活の再建を目指します。
家族や会社に知られずに、相談したり手続きをすることは可能ですが、以下の場合には債務の存在などを知られてしまうことがあります。
家族に知られてしまう場合…支払停止が長期に亘る場合などで、借入先から裁判を起こされた場合。
会社に知られてしまう場合…貸金請求の裁判で判決を取られていて、給与の差押えをされた場合。
会社から借入をしていて、自己破産や個人再生の申立てをする場合。
なお、司法書士には守秘義務があるため、当事務所の者が第三者に対して勝手に、債務整理の相談を受けていることや手続きをとっていることを知らせることはありません。
任意整理は裁判所を使わない手続きなので、相手方との自由な交渉で返済の内容が決まりますが、相手方を従わせる強制力はありません(一度合意できればその内容に縛られますが)。
柔軟に交渉したい場合や、自己破産や個人再生を利用するほど支払が困難であるとは言えない場合に、任意整理で進めます。
個人再生は財産の金額や借金の額に応じて算出された額を返済する手続きで、同じように裁判所に申立てをする自己破産と比べると返済の負担が残ります。
しかし、個人再生では住宅ローンの返済を続けながら(住宅を維持しながら)他の借入を圧縮して支払っていくということが可能なので、住宅ローンがある場合にとても魅力的な手続きとなっています。
また、自己破産では借入原因によっては免責が得られないという問題がありますが、個人再生ではその点が特に問われないため、そのような場合にも選択できる手続きです。逆にこういった面で個人再生を特に選択する必要がない場合は、自己破産をお勧めしています。
なお、信用情報に関しては、いずれの手続きをとった場合も基本的には事故情報(いわゆるブラックリスト)として扱われることとなり、一般的に任意整理が5年、個人再生と自己破産は7年間ほど影響が出ると言われています。”
借金の原因が、ギャンブルや極端な浪費による場合は、
原則として借金の責任を免れること(免責といいます。)ができません。
ただし、ギャンブル等による借金がある場合でも、それが自己破産に至った原因の一部である場合や、その他の事情を考慮すると免責が相当である場合には、免責が許可されることがあります。
自己破産を勤め先の会社に知られることは通常ありません。
だたし、勤め先の会社から借入をしている場合は裁判所から通知がいくため、知られてしまいます。
自己破産の場合は、ご自宅は手放さなければなりません。
自己破産の手続きでは、不動産のような価値の高い財産は処分して配当にまわす必要があるからです。
だだし、住宅ローンを返済中の場合で、住宅ローン以外の借金等を圧縮すれば支払いを続けられそうな場合には、自己破産ではなく「個人再生」にすることで、ご自宅を維持できる可能性があります。
●個人再生によってご自宅を維持することができるケース
(1)不動産の所有者がご自身である
(2)ご自身が実際に住居として使用している
(3)不動産に住宅ローン以外の担保権がついていない
主債務者が自己破産をすると、保証人に請求がいきます。
一括で返済するよう請求されますが、話し合いによって、分割払いに応じてくれる場合もあります。
分割払いでの返済が困難な場合は、保証人も自己破産等の手続きをするかご検討下さい。
一生ローンが組めないということはありません。
与信審査の基準は業者によって異なるため一概には言えませんが、信用情報機関に自己破産の情報が掲載されている7年程度は、ローンやカードの審査が非常に通り難くなると言われています。
ブラックリストというリストがある訳ではありません。
民間の信用情報機関が、個人の信用情報を収集して作成している情報に、いわゆる事故情報として延滞や自己破産などの記録が掲載されることを俗に「ブラックリスト」に載るといいます。
ブラックリストに載ると、借入やクレジットカードの作成が一定期間困難になります。
個人再生の返済中に収入が減ってしまい、計画どおり返済していくことができなくなってしまった場合は、再生計画を変更することができます。
なお、計画を変更することができるのは最大2年間の弁済期間の延長のみで、弁済総額を変更することはできません。
以下の要件に該当する場合は個人再生を利用することができます。
(1)将来において継続的に又は反復して収入が見込めること。
※原則3年間支払いを続ける必要があるため、短期的な収入ではなく継続した収入が必要となります。
(2)住宅ローンを除く借金の総額が5000万円を超えないこと。
※保証債務も含まれます。
パートやアルバイトであっても個人再生を利用できる可能性はあります。
手続きの要件として「継続的に又は反復して収入を得る見込み」があることが求められますが、この点がクリアーされれば手続きを利用することができます。
ご本人に収入がある方でないと個人再生を利用することはできません。配偶者の収入や養育費等があっても、これらを返済原資として手続きをすることは認められません。
借金をした場合に発生する利息は「利息制限法」という法律で規制され、受け取ってもいい利率の上限が定めれています(借入の残高に応じて年15~20%)。
この上限利率を超える部分は無効となります。このように上限が決まっているにもかかわらず、消費者金融の利率は年20%を超える高い利率となっていました。
これは、「出資法」と「貸金業規制法」という「利息制限法」とは別の律を根拠にして利率を定めていたため、このような高い利率になっていたのです。この法律間の上限利率の隙間をゲレーゾーン金利と呼びます。
グレーゾーン金利での取引があった場合は、「利息制限法」の上限利率でのに引き直し計算が可能であり、この計算をした結果残高が0になり、更に払い過ぎになっているケースもあります。
この払い過ぎになっているお金を「過払金」といい、「過払金」は取り戻すことが可能です。
司法書士に過払金返還請求を依頼された場合、司法書士が受任した旨と同時に取引履歴の開示請求を行います。業者から取引履歴が送られてきたら、これを基に利息制限法による引き直し計算を行い、過金が発生していたら、司法書士から業者に対し過払金返還請求を行います。
その後は業者との和解交渉となりますが、和解がまとまらない場合は、訴訟を提起して返還を求めていくことになります。
訴訟を提起した場合には、その訴訟の中で和解となり、返還の合意ができることが多いですが、訴訟が終わるまで和解することができず過払金が返還されない場合もあります。そのような場合には、最終的には判決を得て業者の預貯金の差押え等を行います。
なお、司法書士が代理人として訴訟を行うことができるのは簡易裁判所に限られ、代理権の範囲を超える場合にはご本人の訴訟を書類作成でサポートしています。
また、預金の差押えなどの強制執行も代理人としての関与ではなく、書類作成でのサポートとなります。
原則、過払金を請求しても事故情報とは扱われないので、いわゆるブラックリストに載るということはありません。
ただし、過払金が発生していると思って手続きを取ったものの、結果的に借金が残ってしまっていたような場合は、信用情報機関に債務整理を行った旨の登録がされてしまいます。
このような事態を避けたい場合は、事前に取引履歴をご自身で取り寄せて頂き当事務所にご持参下さい。こちらで過払金の計算を行い、結果をお知らせ致しますので、その結果を踏まえて手続きをとるか否かご判断下さい。
会社登記・企業支援
会社の登記(商業登記・法人登記)は、どうのような会社なのかを一般に公表することによって、取引の安全を図ることを目的としています。
登記をしなければならないにも関わらず登記を怠ったまま放置すると、過料を科せられ数万円を支払わなければならなくなります。
設立の流れは次のとおりです。司法書士に依頼することにより、必要書類の作成から公証役場での定款の認証、登記申請まで全て任せることができます。
1.会社設立に必要な事項の聞き取り
↓
2.定款の作成
↓
3.定款の認証(公証役場)
↓
4.発起人の出資金払い込み
↓
5.登記書類の作成、捺印
↓
6.登記申請(会社設立)
会社の基本事項の決定や必要書類の取得などがスムーズにいった場合で、お急ぎの場合には1~週間程度で登記申請まで済ませることが可能です。会社の基本事項の決定は重要であり、中途半端な内容で会社をスタートさせると後からコストや手間が掛かってしまう可能性がありますので、お急ぎでなければ1か月程度の期間をみて進めていくとよいでしょう。
なお、会社設立の登記を申請した後、会社の証明書である登記事項証明書や印鑑証明書が取得できるようになるまでには、登記の審査の関係で3日~一週間程度の期間を要します。登記申請後直ぐにこれらの書類を取得して銀行口座の開設等ができる訳ではないので、ご注意ください。
定款は、会社の目的や組織など会社の基本ルールを定めたものです。
会社設立時に作成し、その後は必要に応じて変更をしていきます。会社の組織が大きくなった場合など、組織の現状と定款の内容が合わなくなっていることがあるため、定期的に内容を確認する必要があります。
お一人でも会社は設立できます。出資者である株主が最低お一人、取締役が最低お一人必要ですが、株主と取締役は同一人物でも問題ありませんので、お一人での設立が可能となっています。
現在の会社法の規定では、資本金1円以上での会社設立が可能となっています。
したがって、1円以上あれば会社設立は可能ですが(但し諸経費除く。)、会社の資本金は登記事項証明書に記載され、誰でも確認することができますので、会社の信用面などを気にされる場合はその辺りも考慮しつつ資本金の額を決定して頂くとよろしいかと思います。
以前は、会社を設立する際は、類似商号の調査は必要不可欠でしたが、現在の会社法では、同一所在地の同一商号のみ登記ができないことになっています。
ただし、不当競争の問題はありますので、同種の事業を行う同一商号の企業がある場合には注意をして下さい。
法務局に提出する会社の代表者の印鑑の大きさは、辺の長さが1センチメートルを超え、3センチメートル以内の正方形の中に収まるものでなければなりません。
また、照合に適さない印鑑(欠けているものなど)は届出印に向きません。
平成18年5月1日の会社法の施行により、有限会社は設立出来なくなりました。これまでに設立された有限会社は特例有限会社として存続できますが、新規の設立は出来ません。
株式会社の設立が容易になっているので、新規で会社を設立する場合は株式会社にするか、更に容易に設立できる会社形態で合同会社というものがあるので、こちらを利用して頂くこともできます。
取締役の任期は、公開会社という大規模の会社を除き、定款で定められた10年以内の期間となります。
なお、会社法の施行以前は取締役の任期は2年であったため、会社法の施行後に定款の変更をしていない場合は2年のままになっています。役員変更にはコストが掛かりますので、戦略的に短い任期にしておきたいということでなければ、任期を伸長しておくとよいでしょう。
定款変更をして、有限会社から株式会社へ組織変更することができます。今までの有限会社は、今後も「特例有限会社」として存続しますが、商号変更手続により、株式会社に移行することができます。
この場合、資本金を増やしたり、役員の数を増やす必要はありません。
なお、特例有限会社のまま存続するメリットとしては、役員の任期制限がないこと、会社の決算公告が義務付けられていないことがあります。
会社の登記事項証明書、印鑑証明書のいずれも、法務局で取得することができます。登記の管轄は関係ありませんので、全国どこの法務局でも取得できます。
会社の登記事項証明書は、手数料 (1通600円)を納付すればどなたでも取得でき、会社の印鑑証明書は、手数料(1通450円)と、法務局発行の印鑑カードを持参すればどなたでも取得できます。
ただし、印鑑証明書の交付を申請する際、代表者の生年月日を申請書に記載して頂く必要がありますので、ご注意ください。
紛失した印鑑カードの失効手続きと新しいカードの再発行手続が必要です。法務局備え付けの専用の用紙に必要事項を記入し、会社印で捺印をして申請して下さい。
行政区画のみの変更で地番に変更がない場合は、本店変更の登記は特にする必要はありません。
ただし、行政区画の変更に伴い地番に変更があった場合や住居表示が実施された場合は本店変更の登記が必要になります。なお、この場合登録免許税(印紙代)はかかりません。
長期間企業活動をしていない会社を、一般的に休眠会社といいます。
税金については休眠届を税務署等に提出する事によって課税されない事が多いため、解散登記や清算結了登記をせずに、休眠会社として放置されるケースが少なくありません。
しかし、休眠届を提出していても役員の任期がくる度に登記はしなければならず、もし役員変更登記を忘れた場合、過料(罰金のようなもの)を支払わなければならないことがあります。いつか事業を再開する予定がないのであれば、そのまま放置せず、きちんと解散登記、清算結了登記をされたほうがいいでしょう。
各種登記手続き
登記を申請するのは、当事者であるあなた自身ですので、ご自分でも申請は可能です。
法務局に登記相談の窓口がありますので、そのようなところで相談しつつ申請する方もいらっしゃいます。しかし、窓口で相談できるのは平日の日中の時間帯ですし、申請した後も内容に不備があれば法務局に出向いて補正をしなければなりません。
手続きをスムーズに行うためにも、また不動産にかかわるトラブルを未然に防ぐためにも、専門家である司法書士に依頼されることをお勧め致します。
売買や相続などで不動産を取得したとしても、登記をしなければ他の人にその不動産が自分のものであることを証明することはできません。不動産を担保にして銀行から借入を行う場合も、登記内容を確認する登記事項証明書を提出することによって自分が所有者であることを確認してもらうため、登記されていなければ借入をすることもできません。
また、不動産が二重に売買されていたような場合には、先に登記の名義を得たものが所有者であると扱われることになっています。不動産を取得した際には、自分の権利を守るために速やかに登記をしておくようにしましょう。
不動産の所在や地番(通常、住所の番地と登記上の地番は番号が異なりますのでご注意ください。
法務局にあるブルーマップという住宅地図で確認できます。)、家屋番号が分かれば、基本的にどこの法務局でも、誰でも取得できます。手数料は1通600円です。
不動産の売買や相続の登記が完了すると、これまでは法務局から権利を取得した人に対して登記済証(いわゆる権利証)が交付されていましたが、この登記済証の制度は廃止され、現在は登記済証の代わりに「登記識別情報」が通知されることになりました。
この登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットで構成されており、次回登記申請の際に、登記名義人であることの証明資料として法務局に提供することになります。
なお、登記識別情報は目隠しシールによって保護されていますが、もし第三者に見られたりコピーされたりして情報が漏洩してしまうと、従来の登記済証が盗まれたのと同様の危険が生じます。
ですので、この目隠しシールは秘密保持のため、絶対に剥がされないようにして下さい。
また、登記済証の制度は廃止されましたが、すでに交付されている登記済証は有効であり、今後手続きをしてその不動産の所有権等の全部について新たに登記識別情報が発行されるまでは、手続きに必要な書類として利用する可能性があります。現在お持ちの登記済証は、引き続き
大切に保管して頂きますようお願い致します。
権利証というのは、登記済証と登記識別情報の一般的な呼称のことであり、これらの書類と別のものを指す言葉ではありません。
現在の制度上は登記が完了して新たに登記の名義人となった方には「登記識別情報」というものが発行されますが、古い制度の頃は「登記済証」というものが発行されていました。
現在登記が終わった後に発行されるものは全て「登記識別情報」に統一されていますが、現在も「登記済証」が有効な権利証である不動産もあります。
不動産の売買や銀行から融資を受ける際などに、「権利証持ってきて」と言われた場合は、その不動産に関して有効な「登記済証」または「登記識別情報」を用意していく必要があります。
不動産の権利を何回かに分けて取得しているような場合には有効な権利証がどれなのか非常に分かり辛くなっていますので、そのような場合には予め司法書士に確認を取って頂くことをお勧め致します。
権利証を再発行することはできませんが、権利証をなくされた場合でも、
司法書士が「本人確認情報」を作成、これを添付することによって登記申請をすることが可能です。
この場合、司法書士が事前に所有者の方と面談し、運転免許証等の身分証明書の原本の提示を受けると供に写しを1部頂戴し、必要な確認を行ったうえで本人確認情報という書類を作成致します。
なお、本人確認情報の作成には費用が掛かりますので、ご自宅のどこかにある可能性が高い場合などにはできる限り探して頂きますようお願い致します。
司法書士は、法令上や司法書士会の規則によって、登記手続等を行う際に依頼者の本人確認や、意思確認を行う事が義務付けられます。当事務所では本人確認等について、原則として面談を行い、運転免許証等の原本確認をさせて頂くと供に、コピーを頂戴しています。
ただし、ご依頼者の方によっては遠方に居住されていたり、時間的な問題で面談が困難な場合もございます。このような場合には、本人限定受取郵便を利用して面談に代わる方法で本人確認を行わせて頂くことも可能ですので、ご相談下さい。
銀行から住宅ローンなどの借入をした際に、不動産を担保に提供した場合は、その不動産に抵当権(または根抵当権)が設定されます。
借入を完済すると、この抵当権等を抹消することになりますが、必要な書類は銀行が用意してくれます。
銀行が用意してくれた書類に加えて、抵当権抹消の登記申請書を用意して法務局に提出し、法務局の審査が終われば、抵当権が登記簿の記録から抹消されます(抵当権の記録に抹消されたことを意味するアンダーラインが引かれます。)。
なお、所有者の方の登記簿上の住所が現在の住所と異なっている場合には、抹消登記の前提として住所変更登記が必要となりますので、ご注意下さい。
抵当権の抹消を直ぐに行わず、何年も経ってから抹消をしようとすると、書類の差替えが必要になるなど、手続きが煩雑になります。
完済したら早めに抹消しておくようにしましょう。
抵当権は、特定の債権だけを担保する権利であり、その特定の債権が全額弁済されるなどして消滅すると、担保の効力がなくなります。個人が住宅ローンの借入などをして所有する不動産に担保を付けている場合は、通常はこちらの抵当権であることが多くなっています。
これに対して、根抵当権は、あらかじめ担保される限度額(極度額といいます。)を定め、その範囲内で借りたお金を担保する権利です。極度額のや決められた債権の範囲内であれば複数の借入や、手形や小切手などの異なる種類の債権でも担保されますし、全ての取引を全額返済したとしても担保の効力はなくなりません。
繰り返し同じ相手と取引を行う場合は根抵当権が向いているため、事業者の方と金融機関との間で利用されることが多くなっています。
相続を待たずに生前に財産を贈与することを、「生前贈与」といいます。 将来相続が発生した時の相続税対策や、生前に権利関係をはっきりさせておきたい場合などに利用されています。不動産を生前贈与する場合は、財産を譲る方ともらう方とで「贈与契約書」を作成し、その内容に基づいて共同で不動産の登記申請を行います。
田畑を宅地に変更する場合には、まず初めに農地を宅地に変更することに関する農地法の許可(または届出)を得て、許可が得られて建物が建築されたら、その後に登記上の地目を宅地に変更する登記を申請します。
なお、農地法の許可は行政書士の業務ですので、当事務所にご依頼頂いた場合には行政書士が担当させて頂きます。
一方、地目の変更登記は土地家屋調査士の業務であり、当事務所ではお引き受けできかねますが、提携している土地家屋調査士をご紹介させて頂きます。
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